9年前から残っている開業費は償却できるの?
個人の所得税申告で、よく誤解をされているなと思うのが開業費の償却についてです。
開業費とはその字の通り、事業を開始するまでの間の開業準備のために支出した費用です。
なので、開業準備のための広告宣伝費や、接待費、消耗品費など全てが含まれます。
ちなみに、それらを開業費として経理処理する場合は明細を記帳のうえ領収書などまとめて保管する必要があります。
開業費の償却については、所得税法上60か月の均等償却か任意償却と規定されています。
ここで見落とされがちなのが、任意償却が可能という点です。
任意償却とは、繰延資産の額の範囲内で事業主が任意に償却をしたらいいですよ、という事なので、
極端な話、開業初年度の全額償却しても良いし、全く償却しなくても良いという事なのです。
なので、開業後ずっと赤字で開業費を償却したところで、どっちみち税額は生じないのであれば、
ずっと償却せず残しておけばいいのです。
そして、何年か後に黒字になって各種控除をしても税金が生じる!となった段階で開業費を償却すれば、
開業費を有効に償却できた事になります。
任意はあくまでも任意なので60カ月を過ぎれば償却できない、なんて事はないのです。
よって、表題の回答は『償却できます』となります。
これから開業される方、近年開業された方、ちょっとした知識で税額が変わってきますのでご留意を。